タームシートにおけるLiquidation Preferenceの規定例
参加権(participation right)には、非参加型(non-participating)、完全参加型(full-participating)、キャップ付参加型(capped-participating)の3つの種類があります。
① 非参加型
非参加型優先株式は、LP後の残余財産に対する参加権がありません。
In the event of any liquidation, dissolution or winding up of the Company, the proceeds shall be paid as follows:
Alternative 1 (non-participating Preferred Stock): First pay [one] times the Original Purchase Price [plus accrued dividends] on each share of Series A Preferred. The balance of any proceeds shall be distributed pro rata to holders of Common Stock.
② 完全参加型
完全参加型優先株式は、LPの分配後に、希薄化後ベースのプロラタの割合で普通株主と残余財産を共有する権利を有します。
③ キャップ付参加型
キャップ付参加型優先株式は、完全参加型のようにプロラタで参加権を有しますが、分配額の合計が一定の倍率(投資金額の[ ]倍)までという制限がついています。この制限は、普通株主と共有する参加権による分配額のみではなく、優先株主に対する優先分配権に基づく分配を含んでいる点に注意が必要です。
VC投資家と創業者との間の交渉
優先株主による参加権のないAlternative 1は、基本的に創業者にとって最も望ましい選択肢であるといえます。
一方、Alternative 2は、創業者はVCと残余財産をシェアしなくてはならないため、創業者にとっては望ましくない選択肢となります。
しかし、単に投資金額の1倍がLPとして確保されているAlternative 1よりも、参加権を有しているAlternative 2の方が、会社の価値を増加させようとするVCのインセンティブは増加します。この点で、創業者とVCの利害が一致するので、創業者にとっても望ましい選択肢になりえます。
いずれにしても、実務上参加権を規定することがスタンダードとまでは言えないので、創業者としては、まずは非参加型を主張するのが望ましく、仮にVCが参加権を強く主張する場合には、キャップ付参加型を合理的な落としどころとすることが考えられます。