経営陣によるリスクテイク
経営陣がハイリスク・ハイリターンの新規事業を開始することによって、既存の優先株主の権利が毀損されることがあります。
創業者がハイリスク・ハイリターンの新規事業を行った場合、シリーズA優先株主に対する分配の期待値が、現状で清算した場合のLiquidation Preferenceよりも少なくなる場合があります。しかし、新規事業を行った場合の創業者に対する分配の期待値が、現状で清算するよりも高くなる場合、創業者には機会主義的な行動をとるインセンティブが生じることになります。
このような問題に対応するため、タームシートでは、Investors’ Rights Agreementにおける取締役の要同意事項として、取締役会の承認と矛盾する投資方針の採用、会社の主要事業の変更や新規事業の開始、一定規模の支払を伴う他社との戦略的提携をブロックする規定が置かれています。
Matters Requiring Investor Director Approval: …the Company will not, without Board approval, which approval must include the affirmative vote of…the Series A Director…
(iii) make any investment inconsistent with any investment policy approved by the Board;
(viii) change the principal business of the Company, enter new lines of business, or exit the current line of business;
(x) enter into any corporate strategic relationship involving the payment contribution or assignment by the Company or to the Company of assets greater than [$100,000].
経営陣によるアーリーエグジット
上記のリスクテイクの場合とは逆に、創業者(経営陣)が現状での清算(アーリーエグジット)を実行することで、優先株主の利益が毀損する場合があります。
創業者は、いますぐに会社を清算し、新たな投資家からより良い条件でファイナンスを受けて、新会社を設立するインセンティブが生じます。
このような問題に対応するため、タームシートでは、定款上の権利として、会社の清算等をブロックするための保護条項が規定されています。
Protective Provisions: …Company will not, without consent of holders of at least [x]% of Series A Preferred…
(i) liquidate, dissolve or wind-up the affairs of the Company