タームシートのCap Tableには、創業者や過去の投資家(エンジェル投資家や、アーリーラウンドで投資したVC)がすでに保有する株式のみではなく、従業員等に発行される予定の株式(オプション・プール)の合計数を記載することが要求されます。
スタートアップ企業は、従業員の報酬やインセンティブのためにストックオプションに依拠することが多いため、オプション・プールをなるべく多く確保すべきとも考えられます。
しかし、Valuationの記事で説明したとおり、オプション・プールに確保された株式数は、Pre-money Valuationに基づく1株当たり価値を計算する際に用いられる完全希薄化後株式数に含まれることが通常です。
すなわち、Offering TermsにおけるPre-money Valuationの定義にみられるように、一株当たりの発行価額(Original Purchase Price)は、完全希薄化後(fully-diluted)ベースで計算されます。ここでは、オプション・プールの割合はPost-moneyベースの%で記載されています。
したがって、オプション・プールの数を多く設定するほど、Pre-money Valuationにおける完全希薄化後の1株当たり価値は希薄化するので、オプションを除いた実質的なPre-money Valuationを自ら下げることになってしまいます。
その結果、優先株式1株当たりの発行価額も小さくなり、(VCによる投資額が一定とすると)VCが取得する優先株数は多くなります。
通常、10-20%のオプション・プールを定めるのが一般的です。
創業者としては、Valuationとオプションの付与量の両面から、タームシートに記載されたオプション・プールの%を注意深く検討し、VCと交渉する必要があります。