タームシートの構成

タームシートの機能

VCは、スタートアップ企業に対し、希望する投資条件等を記載した拘束力のないタームシートをオファーすることによって、投資への興味を伝えます。VCは、タームシートのオファーに至る段階で、すでに厳しいスクリーニングおよび事前のデューディリジェンス(創業者とのミーティングなど)を終えており、数百以上に及ぶ投資候補者のうち、タームシートの提出に至るのは数件程度といえます。

創業者がVCの提出したタームシートの条件(場合によっては交渉によって変更される)に合意し署名することで、VCは最終段階のデューディリジェンスを行い、問題がなければクロージングが実行されます。

したがって、タームシートは、投資家と創業者が投資条件を誠実に交渉し合意するためのスターティングポイントとしての機能を有しています。

タームシートの構成

タームシートの構成は以下の通りです。

Offering Terms(募集事項)
Charter(定款の主要な条項)
Investor’s rights agreement(投資家の権利に関する合意)
Right of first refusal(先買権)
Voting agreement(議決権行使に関する合意)

という複数のセクションに分かれています。

タームシートやタームシートの項目を詳細に規定した契約書のモデルは、NVCA(National Venture Capital Association)のサイトにて、入手することができます。

今回の記事では、タームシートにおけるOffering Termsについて解説し、それ以外の項目については別途説明する記事を記載する予定です。

Offering Termsの例

VCは、通常、普通株式への転換権付優先株式(Convertible Preferred Shares)によって投資をします。

Offering Termsの例として、以下のような募集事項が規定されます。

クロージング日:タームシートの合意およびクロージングの前提条件達成後速やかに行う

投資家:シリーズA投資家 5百万株(33.3%)、5Mドル

VCによる投資額:5Mドル

1株当たりの発行価額:1ドル(Original Purchase Price)

Pre-Money Valuation:Original Purchase Priceは、完全希薄化後(fully-diluted)のpre-money valuationの10Mドル、post-money valuationの15Mドル(オプション・プール15%を含む)をベースに算定

Capitalization:クロージング前後の資本構成(Cap Tableを添付)

Capitalization Tableの例

添付されるCapitalization Tableの例は、以下のような表になります。